寺宝の紹介その2
- 2016年10月31日|
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本日紹介するのは秀次ゆかりの品々。
御釜
秀次公は利休の台子七人衆の一人。一流の文化人として、
この釜でお茶を点てていたのでしょうか。
秀次公装束
秀次公着用と伝わる装束。箱に入っており、触ると崩れそうです。
一の臺緋の袴
一の台の局着用の緋袴。同じく箱に入っております。
秀次公冠
秀次公着用の冠です。画像の秀次公が被っている、あれです。
扇面
今回、京都国立博物館から里帰りしたもののひとつです。
もしかしたらこれが今回の中で一番貴重なのかもしれません。
秀次公の手による書が書かれています。
誰かに褒美として渡されたもののようです。
扇は屏風やお軸の形で保存されているものは多いけれど、
400年前の扇そのままの形で残されているものは少なく、
貴重なものだということ。木の骨も残っているので、
いずれ補修して元の形に復元されてはいかがと
学芸員さんはおっしゃってくれています。
刀と槍
秀次公愛用と伝わる刀と槍です。
錆びがひどいのですが、磨けばまたもとの輝きを取り戻す
とのことですが、これもなかなか費用のかかること。
いずれは、と思っています。
戦後すぐに一度GHQに押収された跡のラベルなどが痛々しく
これも歴史のひとつの面を伝えるものと言えますね。
寺宝の紹介1
- 2016年10月30日|
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寺宝展、おかげさまで連日たくさんの方が参拝してくれております。
遠方の方や来られない方のために、
今回展示の寺宝を紹介していきたいと思います。
⚫︎秀次公縁起。
秀次事件の顛末を描いた絵巻物一巻です。
京都国立博物館に寄託していますが、久々にお寺に里帰りです。
作者成立時期ともにわかっていませんが、
江戸初期にもので、狩野派の特徴が見られるとのこと。
嘉永二年成立の甫庵太閤記より古く、
まだ秀次公が悪逆非道の殺生関白として描かれていません。
高野山での秀次公ご切腹のシーン
御一族が牛車に乗せられ市中を引き回され、
三条河原の刑場へと連れられていくシーン
非常に保存状態がよく、
金箔に施されたテクスチャーが美しいです。
衆人の着物の柄まで細かく描かれ、
悲惨なシーンにかかわらず
人々の顔の表情がかわいらしくやさしいです。
どのシーンの絵もとても魅力的で全部お見せしたいのですが、
展示ケースの都合上、2シーンしか見せられないのが残念。
⚫︎「高野山で自刀した秀次公と家臣達並びに
三条河原で処刑された御一族の御影」
京都市歴史資料館に寄託されているもののレプリカですが、
精巧に作られており、秀次公ならびにご一統の面影が
よくわかるお軸です。3服。
⚫︎薙刀 備前国住 長船彦兵衛祐定作 永正十三年二月
側室の誰かが使っていたものでしょうか。
螺鈿細工が美しい薙刀です。
特別公開ならびに寺宝展はじまりました
特別公開ならびに寺宝展、本日開幕いたしました。
会場と同時につぎつぎと拝観の方たちが来て驚いております。
まずは本堂に参拝。
京都産業大学の郷土史研究会の学生さんが語る
お寺の縁起を聞いていただいた後、
お座敷の寺宝展展示会場に。
ちょっとした資料館くらいの密度の高さです。
秀次公と御一族の遺品の数々に
往時を偲んでいただけたらと思います。
100年ぶりの寺宝展について
瑞泉寺の主な寺宝は、ふだんは博物館や資料館で管理されています。
寺宝の「瑞泉寺裂」や「秀次公縁起」は明治の頃にすでに京都国立博物館に
寄託されていました。
明治以来、何度かお寺にもどして展示公開したことがあるのですが、
ちゃんとした期日を記した資料が残っていません。
先代から聞いたところによると、
大正のころに1回、一般の人たちにみてもらえる形で展示したことがあるようです。
このときの「瑞泉寺裂」や「秀次公縁起」の世間への影響はけっこう大きく、
(それが世に知られたはじめてのことだったに違いなく)
甲斐庄楠音が日本画で『畜生塚』を描き、
谷崎潤一郎が『聞書抄』という小説を書いたのは
このときの展示がなんらかのきっかけになっていると思われます。
その後、戦後すぐの頃、お寺の座敷で展示したことが一度あったとのことですが、
これは檀家さん向けの内うちのものだったようです。
それぞれの寺宝はそれぞれ寄託先の企画展などで
折々に展示公開されたことはありましたが、
この瑞泉寺で一同に会して展示公開されるのは、
ほぼ100年ぶりのことになります。
今回展示の「瑞泉寺絵縁起」(画帳)や「秀次公縁起」(絵巻物)は
秀次事件の顛末と瑞泉寺の成り立ちを描いたもので、
ともに作者の名前はわかっていないものの、
端正な筆致からかなりの絵師が関わって制作されたものだと思われ、
特に「秀次公縁起」は金箔を多用した豪華な仕上がりで、
特別な思いで作られたものであることが伝わってきます。
また「瑞泉寺裂」として名高い
秀次公の側室たちの辞世の句の掛け軸は、その方たちが身につけていた
着物の切れ端で表具され、当時の辻が花の技法を今に伝えるものとして貴重です。
その他、佩刀や茶釜、扇子など秀次公愛用の品々も展示しようと思います。
これら秀次事件を描いた縁起や、御一族の愛用の品々を
400年前に事件のあったそのまさに現場である瑞泉寺で見ていただくことは、
貴重な体験になると思います。
この場所が伝える悲しい一族の品々から
当時ここで何が行われたのか、
秀次事件とはなんであったのか、
思いを馳せていただき、
犠牲になった方々へ手をあわせていただけたらと思っています。
※写真は『瑞泉寺縁起』より秀次公の首と対面した側室の方たちのシーンです。
寺宝展展示内容は以下です。
⭐︎本堂展示
●角倉了以・素庵像 瑞泉寺蔵
●平清盛公ゆかり瑞泉寺厄除地蔵尊 瑞泉寺蔵
⭐︎座敷展示
●秀次公縁起/絵巻物 1巻 京都国立博物館蔵
●秀次姫妾和歌/軸 20 幅の内4幅 京都国立博物館蔵
・第五番 於辰の前(百丸君生母・尾州山口将監の息女)
・第七番 於佐子の前(十丸君生母・北野松梅院の息女)
・第十一番 於伊万の前(出羽最上家の息女)
・第十七番 於美屋の前(一の台の息女)
●辻が花 後西天皇綸旨/軸 1幅 jb 京都国立博物館蔵
●秀次公愛用扇面 1面 京都国立博物館蔵
●瑞泉寺絵縁起/画帳 1冊 京都市歴史資料館蔵
●秀次公陣刀 二振り その他刀剣 一振り 瑞泉寺蔵
●秀次公薙刀刃 一振り 瑞泉寺蔵
●秀次公冠 一個 瑞泉寺蔵
●秀次公愛茶釜 一個 瑞泉寺蔵
●一御台袴 一つ 瑞泉寺蔵
●瑞泉寺初代・四代住職 御影 瑞泉寺蔵
●秀次公と御一族肖像画 レプリカ