6月18日より京都国立博物館「豊臣秀次と瑞泉寺」展始まりました。

京都国立博物館での「豊臣秀次と瑞泉寺」展、昨日6月18日より始まりました。常設展や他の特別展との抱き合わせ企画ではありますが、七条の大通りに面したメインの大看板には「豊臣秀次と瑞泉寺」が大きく貼られております。初日、どきどきしながら観覧に行って参りました。平成知新館1階の奥、3部屋使っての展示です。

1部屋目には、「秀次公と御一族の絵像」の掛け軸や今回修繕した伝秀次公直筆「和歌扇面」、瑞泉寺の歴史を伝える「瑞泉寺縁起」などが展示。クラファンでご支援いただいた資金で修繕した「和歌扇面」入ってすぐのところに展示されています。そして「秀次公と御一族の絵像」久々に実物を見ると表装がとても美しい!

 

2部屋目には、ずらりと側室たちの「辞世和歌」を彼女たちが着ていたと伝わる小袖の裂で装った掛け軸が並んでいて圧巻。彼女たちが実際着ていた着物とは若干時代が合わないものもありますが、どれも贅を尽くした織や刺繍、染めで作られた小袖で、絢爛豪華です。けれど、その華やかな掛け軸に書かれた和歌は側室たちが最後に詠んだものだと思いが至った時、彼女たちを襲った悲劇にシンクロします。中央には秀次事件の顛末が描かれた「秀次公縁起」が展示され、側室たちが牛の車で市中を引きまわされるシーンや三条河原での処刑のシーンなどが見られます。彼女たちを襲った理不尽さが胸に迫まる展示です。

 

3部屋目には、角倉了以像や瑞泉寺初代住職・立空桂叔上人の頂相など瑞泉寺にまつわる寺宝が展示されています。明治時代から京都国立博物館に寄託され、僕たちお寺の者も見たことがないものがありました。瑞泉寺の歴史的な成り立ちがわかる展示です。ここにクラファンでご支援いただいた資金で修繕が叶った掛け軸・天皇綸旨二幅と女房奉書一幅があります。瑞泉寺裂と呼ばれる掛け軸の中でももっと貴重な染色・辻ヶ花染めと、豪華で繊細な刺繍(ともに江戸初期)の小袖の裂で表装された軸です。クラファンでご支援いただいた皆様、修繕され、美しさを増した姿をぜひ見てください。他の掛け軸と見比べて頂ければ、丁寧に修繕されたしゃんとした美しさに気付いていただけるはずです。

 

以上、たった3部屋ではありますが、見応えたっぷりの展示内容です。歴史に興味のない方も、色褪せない美術・工芸品としての美しさに目を奪われると思いますし、その上で秀次公とご一族の悲劇に思いを馳せていただけると思います。今回の展示を見て、私は瑞泉寺は秀次公とご一族の「ものがたり」を伝えるためのお寺なのだと改めて感じました。見ていただくだけで供養になる、そんな風に思います。多くの人に観ていただきたい展覧会です。

 

瑞泉寺住職