NHK大河ドラマ「真田丸」。
先週末、ついに秀次公最後の回でした。
秀次公が高野山にてご切腹されたのは、文禄4年7月15日。
今回の放送日は7月17日。
NHKさん、もしくは三谷さん、時期も計ってらっしゃったのでしょうか。
だとしたらすごいなあ。
毎回、大河はおもしろく拝見させていただいているのですが、
今回の秀次公は特に好人物に描かれていて、毎週楽しみに見ておりました。
最近大河に登場する秀次公は総じて好感の持てる人物として登場するので
瑞泉寺としてはちょっとほっとしております。
一昔前は、「殺生関白」のネーミングに引きずられて、
負の面のある役が多かったのです。
これは太閤秀吉という人に対して、
いろいろな見方ができる世の中になってきたということだと思うのですが
(特に関西で阪神タイガースと秀吉さんの悪口を言っては生きていけない
風潮がありました^^;)、
同時に「秀次公事件」というこれまでほとんど俗説を受け入れるままで
真相が解明されないでいた歴史的な事件に
ようやく関心があつまりだしたのだと思われます。
この事件が豊臣から徳川への移行期的時代を解く
カギのひとつであることは間違いありません。
今回の真田丸の秀次像は、国学院大の矢部健太郎准教授が近年発表された
「秀次切腹は太閤命令ではない」という最新の学説を取り入れてのことですが、
まだまだこれから史実の探求が進むにつれ、
ちがう秀次像が提示されるのだと思います。
それにしても今回の秀次公役の新納 慎也さんは
偉大な叔父に翻弄され苦悩する秀次公をみごとに演じてくださいました。
頼りなげななかにも時折見せる聡明さが、
きっとこの先経験を積んでいくなかで、
さらに磨きがかけられて、よい関白になっていくに違いないと思い、
ずっと生き続けてほしいなと、この先の歴史を知りながらも
思わせてくれる好演ぶりでした。
新納さんは秀次公役を演じるにあたって、
瑞泉寺にご挨拶にきてくださって、
名誉住職の秀次公講義を3時間近くにわたって熱心に聞いていかれました。
そのことだけでも、今回の秀次公役に対する思いが感じられ、
きっと素敵な秀次公を演じてくださるにちがいないと思っていたのですが、
その予想は裏切られることはありませんでした。
長年秀次公を研究している名誉住職的には、
「こんな頼りない人物じゃあどうもならん」と
ちょっと物足りないようではありましたが…(^^);
確かに戦国時代を生き抜いた武将としての秀次公の人生史をみると、
優しいばかりの人物ではなかったようにも思われますが、
大河ドラマという枠のなかで、現代の人たちに共感できる
新しい秀次公像を作っていただけたことは
瑞泉寺として感謝するばかりです。
この秀次公事件、先にも書きましたようにまだまだ真相のわからない
ものではありますが、当山瑞泉寺にはこの秀次公の事件の顛末を描いた
「秀次公縁起」という絵巻物が寺宝として伝わっております。
普段は京都国立博物館に寄託されていて、
原本はもう長いこと僕たちお寺の者も見たことがないのですが、
この秋、瑞泉寺にて展示公開することとなりました。
公益財団法人京都古文化保存協会さんが毎春秋開催される
「京都非公開文化財特別公開」のひとつとして、
瑞泉寺の本堂ならびに座敷などに寺宝の数々を展示して
一般に方に見ていただこうと思います。
「秀次公縁起」の他にも秀次公と御一族ゆかりの品々も展示する予定です。
秀次公と御一族の悲劇があったこの場所で、
その事跡を伝える文物を見ていただき、
隠されてしまった歴史の真相に触れていただきたいと思います。