安田登「京都寺子屋」開講

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瑞泉寺で、安田登さんの「寺子屋」が始まります。

安田登先生は能楽師であり、身体を通して様々な知性を探求されている方です。
著書は「あわいの力」(ミシマ社)や「能に学ぶ『和』の呼吸法」(祥伝社)、
「身体感覚で『芭蕉』を読みなおす』(春秋社)など多数あります。
著作だけでなく、各地で身体感覚に基づいたワークショップや
イベントを精力的に開催されていて
中でも「寺子屋」は安田先生がそのときいちばん伝えたい事を
「お寺」でお話したいと思い始められたユニークな会です。
この「寺子屋」が京都ではじめて、瑞泉寺で行われます。

今回のテーマは『論語』。
「孔子」や「論語」というと、知っている方は堅苦しいものと思い、
知らない方は何やら小難しく古臭いもの、と思わるかもしれません(僕もそうでした)が、
安田先生の語られる『論語』の世界は
人間が「心」持ってからずっと続いて来た違和感のひみつを解明し、
その処方箋を紹介し、またこれからくるだろう「心」以降の世界にも想像が膨らむ
とてもドキドキするものです。
思えば孔子はお釈迦様と同じ時代を生きた人。
その教えには仏教に通じるものがあります。
とにかく、目からウロコがどんどん落ちるし、
現代社会を生きて行くためのヒントも見つかると思います。
安田先生のお話を京都で聴ける機会は多くありません。
ぜひご参加ください。

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▼京都寺子屋:7月6日(木曜)
開場18:30 開講19:00

瑞泉寺(木屋町三条) 京都市中京区木屋町三条下ル石屋町114-1
受講料:お賽銭(お賽銭箱にご自由にお入れいただきます)

飛込みも歓迎ですが、参加お決まりの方は以下にメールをいただけると、テキスト準
備の都合上、たいへん助かります。

info@watowa.net
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●最新情報はツイッターからお願いします
http://twitter.com/eutonie(安田登)
http://twilog.org/eutonie(安田の書いた分だけ読めます)

⚫︎以下、安田先生から、今回の概要。

第1回 瑞泉寺寺子屋

いまからおよそ3,000年前(紀元前1,300年頃)。古代の中国では文字が誕生しました。
文字は「時間」を生み、「論理」を生み、そして「心」という文字を生みました。
生まれたばかりの「心」の意味は非常にシンプルで、未来を変え、過去から学ぶ力をいいました。
文字が生まれる前、そして「心」が生まれる前、
私たち人類はみな「夢」の世界に生きていたのではないのでしょうか。
夢の世界といってもファンタジーのような楽しいことばかりではありません。
怖い目にあっても、夢(悪夢)の中では私たちは逃げることしかできません。
恐怖の対象を何とかしようと冷静になって思索を巡らし、
計画を立てることなど夢の中ではできません。
ただただ逃げるだけです。これは子どももそうです。

文字以前の世界、「心」以前の世界は、
夢の中の世界と同じであり、無力の子どもの世界と同じでした。
文字の発明によって「心」と「時間」を手にいれた人間は、
変えられないと思っていた未来や運命を変える力を手に入れました。
恐怖の対象から、ただ逃げるだけでなく、それを何とかしようと考えて、
それを実行に移すことができるようになりました。
どうしようもできないと思われていた
自然災害や猛獣たちの災いからも身を守ることができるようになりました。
これは大きな革命でした。

そこから「心の時代」が始まったのです。

しかし、明るい未来を手に入れた人間は、
未来に対する「不安」をも同時に手に入れてしまいました。
そして、過去から学ぶ力を手に入れた人間は、
同時に過去に対する「後悔」も手に入れてしまったのです。

未来を変える力を、心の「作用」だとすれば、「不安」は心の「副作用」です。

その副作用に対する処方箋を私たちに与えてくれたのがお釈迦様であり、
イエスであり、そして孔子です。
みな、2,000年以上も前の方たちです。
それなのに今に至るまで、このお三方を凌駕する人物が現れないのは、
「心の時代」がまだ続いているからです。

寺子屋では、心の処方箋としての『論語』を読んで行きながら、
これから来る激動の未来についても考えていきたいと思っています。

『論語』好きも、『論語』嫌いも、
「好きも嫌いも全然わからない」という方も、どうぞお出ましください。

なお、7月下旬発売予定の『あわいの時代の『論語』ヒューマン2.0(春秋社)』では、
表紙と本文イラストを瑞泉寺ご住職、中川学師にお描きいただきました。


安田登拝